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大気の流れのことを指す。

原因

場所による大気圧の不均一を解消するために発生する。気圧の不均一性は、場所による受け取る太陽エネルギーの温度が異なることによる。日光の当たり具合や地表の温まりやすさの違いによって、地表付近の空気の温度にばらつきが生じる。
温まった空気塊は密度が減少して軽くなることで、場所による気圧の不均一が生じる。

比較的に気圧が大きいところを高気圧(高圧部)、小さいところを低気圧(低圧部)という。

2地点間の距離に対する気圧差を気圧傾度力といい、距離が近く、気圧差が大きいほど気圧傾度力が大きいと言える。

風の流れる向きは気圧の高い方から低い方に流れるが、実際にはコリオリ力や遠心力が働くことで、回転を伴う風となる。

風向・風速

風が吹いてくる方向を風向という。北方向を0、東を90、南を180、西を270として0~360の値を用いて風向を表すが、気象観測では16方位または36方位を用いている。

風速は日本では秒速 (m/s) で表すのが普通であるが、国際的にはノット (kt) がよく用いられる。
1ノットは1時間に1海里(1.852km)進む速さである。

大気大循環における風

地球上で受ける太陽エネルギーは年間平均して赤道付近で強く、極地方で弱いため、常に赤道付近では低圧部、極地方では高圧部となり、赤道から極地方に流れる風系が形成されている。
地球上の風系は主に3つの区分に分けられる。
- ハドレー循環:熱帯収束帯で温められた空気が上昇し、高移動に向けて移動したのち、緯度20〜30度付近の高緯度高圧帯で下降して、赤道付近に向けて移動する循環。
- フェレル循環:中緯度高圧帯(亜熱帯高圧帯)で下降した流れのうち、極方向に流れて、高緯度低圧帯(亜寒帯低圧帯)で上昇して、上空で中緯度高圧帯に戻る循環。
- 極循環:極付近の極高圧帯で冷却され下降した空気が低緯度へ向かい、亜寒帯低圧帯で上昇する循環。
これら、年間を通して常に吹いている風を恒常風という。

季節風

時期によって向き変わって吹く風のこと。モンスーンともいう。主に大陸と海洋との比熱(物体を温めるために必要な熱量)の違いによって生じる温度差が原因である。
大陸は海洋に比べて温まりやすく冷めやすい。夏季には海洋に比べて大陸の方が高温となり地表面付近の空気が暖められて上昇し低気圧になることで、海洋から大陸に向かって吹く風となる。
逆に冬季では、大陸の方が冷えやすいため相対的に海洋のほうが暖まり、海洋で気圧は低圧となり、大陸から海洋に向かって吹く風となる。
日本付近では夏季の南東風、冬季の北西風が著しい。

局地風

特定の地域に限って吹く風のこと。地方風ともいう。
- 海陸風:日中と夜間とで風向が逆転して吹く風。発生の要因は季節風と同様に陸地と海洋との比熱の違いによるもので、日中は海洋に比べて陸地の方が温まりやすく、陸地で上昇気流が発生し、そこに向かって海からの風が吹き込む。これを海風という。夜間では逆に海洋のほうが低圧部となり、陸地から海に向かって風が吹く(陸風という)。
- 山谷風:山と谷との間で風向が逆転して吹く風。日中は熱せられた谷側の空気が斜面を沿って上昇する流れができ、山の斜面から上空へ向かう空気の流れができ、循環として成り立つ。夜間は放射冷却によって冷やされた空気が山の斜面を沿って下降し、谷側では地表から上空に向かう空気の流れが循環として成り立つ。

ボラ

気流が山越えして反対側に吹き下ろす際に、断熱膨張が生じ、暖かく乾いた下降流となってその付近の気温が上がる現象をフェーン現象と呼ばれるが、寒気が吹き下ろす場合、山麓付近の気温が上がらず、冷たく乾燥した空気が吹くことがある。
この風のことをアドリア海沿岸の地方風からボラ(ボーラ)と呼ぶ。日本では颪(おろし)とも呼ばれる。

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